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海上技術安全局 市川吉郎
日立造船 瀬崎良明
日本海事協会 小西熈
日本海事協会 重見利幸
1. 経緯及び我が国の対応
1.1経緯
1980年代後半から1990年にかけて、多くのバルクキャリアの全損事故が発生した。
この中には遭難通報も発せず沈み、事故原因も不明なものが数多くあった。これらのバルクキャリアの沈没に伴う人的な被害も甚大なものがあり、200名を超える船員が死亡した年もあった。
このため、船主、荷主、保険会社等がバルクキャリアの安全性の向上を求め、1991年から1993年にかけてIMOにおいて本件が検討された。
この時点の検討では、
?硫黄分を含む石炭等の輸送により、バルクキャリアのホールド内の肋骨等が衰耗していた。
?日常の整備や船級協会の定期的な検査で、この衰耗が発見できなかった。
?衰耗により、船体の強度が低下し、波浪外力に耐えられず、外板が波に打ち抜かれ、浸水、沈没に至った。
という認識のもとに、船齢10年以上のバルクキャリアの検査を強化する総会決議(A.744(18))が、1993年の第18回総会で決議された。なお、このA.744(18)は、タンカーに関する検査の強化も含まれている。
A.744(18)は、決議当時は非強制であったが、このA.744(18)は、1994年の改正SOLAS第XI章「海上安全に関する特別措置」で強制化され、本年1月1目に発効している。
主な検査の強化事項は以下のとおり。
?板厚計測の強化
?構造上重要な部分に対する近接検査の義務づけ
なお、IACS加盟の船級協会は、A.744(18)が決議される以前(1993年7月1目)から、

 

 

 

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